怪物ファンドCTAの危うさ

怪物ファンドCTAの危うさ

世界の市場を「CTA」という名の怪物が徘徊している。中東情勢の緊迫化に揺れる商品市場。原油や穀物相場では半分以上が投機筋からの資金流入となっており、その中心にいるのがCTAなのだ。

 

CTAとは、コモディティートレーディングーアドバイザーの略。ヘッジファンドの一種で、現物にはいっさい投資せず、先物とオプションに特化、その75%は金融工学に基づいたプログラムによって、ロボットが365日、24時間体制で激しく自動売買する戦略を取る。

オイルマネー

 

コモディティ(商品)と名は付くが、株式、債券など6市場を網羅する。たとえば、日本株。1月31日から2月18日までに日経平均株価は、605円上昇している。ところが、東京証券取引所の取引時間中に上がった額は累計でわずか70円にすぎない。ではどこで値上がりしたのか。答えは日本の夜中に当たるシカゴ先物市場である。

 

寝ているあいだに海の向こうで価格が決められるため、日本の投資家は圧倒的に不利になってしまう。価格の下落局面で売り抜けにくいことを考えれば想像できるだろう。「それを仕掛けているのがCTAだ。米国の量的緩和第2弾である)QE2という″大船々に乗って、やりたい放題稼ぎまくっている」と草野グローバルフロンティア代表取締役の草野豊己氏は言う。

 

金融危機に見舞われた2008年、ヘッジファンドの運用成績は軒並み前年比2〜3割減で過去最悪だったが、CTAは平均で十数パーセントのリターンを上げた。多くのヘッジファンドから資金が流出し、解散においこまれた一方で、CTAには新規資金が大量に流れ込み、肥大化した。市場での存在感を急速に高め、「いまや大半の市場がCTAに″制空権"を握られてしまった」(草野氏)。

 

昨年のCTAの運用残高は、2600億ドル(約21兆円)を超えて過去最高。ヘッジファンド全体に占める割合も13・6%にまで伸びている。資金の出し手は、世界の富裕層と一部の欧米の年金基金と見られる。ヘッジファンドには、もう一つ
活発なグループがある。クローバルマクロだ。投資家のジョージーソロス氏が率いるソロスーファンドが有名だが、あらゆる市場の歪みや変化を常に先取りしながら、独自のシナリオを構築して利益を追求する。彼らの投資行動が相場のトレントをつくり出す。
このグローバルマクロには、嗅覚の非常に鋭い一種の天才が必要なのに対し、CTAはプログラムさえしっかり整っていれば、相場トレンドに追随すればいい。

 

CATの仕組み

 

相場トレントを増幅させ他の市場にも危機伝播

だがここに怖さが潜む。CTAのプログラムは、上昇・下落トレントに追随して売買を積み上げる「トレンドフォロー」など四つに集約されるため、同じような投資行動を取りがちだ。その結果、CTAの資金が大量流入した市場は完全なる一方通行に陥ることになる。実需に関係なく、相場のトレント、乱高下を増幅させるのだ。

 

世界的に知られるCTA、ルネサンスーテクノロジーズ。創設者は大学の元数学教授で、同社は数学、物理学、統計学などの博士号を持つ社員を100人以上抱え、逆に金融経験者は雇わないという。そのため、彼らが組む投資プログラムは、投資の基本となる経済のファンダメンタルズとはいっさい無関係に構築されるというのだ。恐ろしいのは、CTAが六つの投資市場でそれぞれにポジションを持っているため、どこかで異常が起きればほかの市場に伝播する点だ。自動的にリスク回避のプログラムが働き、ファンダメンタルズとは関係なく、いっせいに手じまいする仕組みになっている。

 

ヘッジファンド、ユナイテッドーマネージャーズージャパンの高橋誠会長は、「相場が下落し始めたら、売りが売りを呼び、実需の適正価格よりもさらに下落する可能性もある」と言う。投機マネーが市場間の壁を瞬時に飛び越え、危機が連鎖する時代。そのカギを握るCTAという怪物とどのように同き合うのか、市場はまだ答えを見つけられていない。

前日の為替相場(欧米市場)ではコチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁の発言を受け、米金利先高観が強まったことを背景に、ドル買いが優勢となり、ドル/円は83円台前半へ上昇。一方、ユーロ/ドル、ポンド/ドルは軟調に推移した。ユーロはアイルランドの金融機関のストレステスト(健全性審査)の結果が発表され、同国の銀行の資本リスクが高まったことなどから、ユーロは上値が重い展開となった。FX投資家の方は過度なレバレッジ取引を控えるようにしましょう。